NPO法人都市環境標識協会
代表理事  小関長一郎

 前の阪神淡路大震災から10年経過した現在、国の防災担当官も「大震災が発生したら、最初の3日間から1週間くらいは行政による支援は覚束ない」と述べておられます。
確かに阿鼻叫喚の地獄の中では、ひたすら食料を待っていても行政は即対応することは不可能です。

 このような事態を想定して、NPO法人都市環境標識協会は、自助・共助・公助の相互協力で、地域の安全安心の向上を目標に万一の際に最も役立つ避難標識の全国統一と設置推進活動を行なっております。

 従来、地方公共団体は、指定した避難場所に標識を設置すれば良いとの考え方が基本でありました。人が多く集まる駅前や繁華街、イベント会場などから避難場所まで誘導する標識の重要性は、行政上のテーマ(課題)とはなってきませんでした。

 更に、現況の避難標識は、隣接自治体とデザインや形状の合意も無かった事で、全国約3,000の異なった形やデザインで設置されており、大震災のパニック状況の人々には、用立たないと酷評されております。
 当協会は、平成10年から活動を行なってきた結果、統一した避難誘導標識が必要と多数の行政関係者の賛同を得て、種々改良を加え今日に至っております。

 

 当協会は、これからも全国の自治体に対し、防災施設の一層の充実を図るべく、提案してまいりますのでご指示、ご支援をお願い申し上げます。 上へ HOME
協会が目指す地域貢献事業

【1】避難標識全国統一デザインの推進(国内の統一規格標識を目指して)
(1)避難誘導標識の提案、推進、設置、メンテナンス
(2)地域総合案内板の推進
(3)ソーラーによる夜間照明と震度5以上時に赤色LEDで点滅する標識の推進

【2】地域安全活動の展開
(1)小・中学校や地域住民への新標識の教育や説明会などの周知活動
(2)その他、災害時の諸情況に対応する各種講習会の開催

【3】災害者への支援活動
(1)災害救援物資の調達、備蓄、配布など供給システムの開発(特許申請中)
(2)避難者に諸支援活動の実施 上へ HOME

避難誘導標識の重要性について

  国の防災基本法には、「地方公共団体は避難場所・避難経路を予め指定し、日頃から住民に
 周知徹底に努めるものとする。」と定められています。
   避難標識の意義については、
総務庁消防庁が設置した「避難標識に関する調査検討委員会」
 の報告書によると、「大規模災害時の混乱状態においては一般の地域住民でさえ的確な判断が
 難しいうえに、老人、子供、病人、外国人などの災害時要援護者にあっては、避難場所・避難路
 の所在を確認し、安全に避難することは極めて難しい。
   避難誘導標識は、このような事態を未然に防ぎ、避難者を迅速・円滑に避難場所へ誘導する
 ために大きな役割を担っている。」と指摘しています。

  従来、各市町村における避難標識の設置方針であった「避難場所に標識があればそれで充分」
 との考え方から、「避難経路の確保及び避難場所に迅速・円滑に案内誘導する避難誘導標識の
 重要性の認識と早期設置」が強調される答申となっております。

 避難標識の設置にあたっては、

 (1)避難場所の位置(地図)・方向・距離・名称の標示を盛り込む
 (2)国際化の進展を考慮し全ての諸外国人(世界200ケ国)にも理解できる標示内容とする
 ことが必要とされます。

  東京都は、避難標識の統一を必要とする国の方針に基づき、当協会のF型誘導標識の視野性が
 優れていることを認知して、標識面のサイズなどを決定しております。
  更に、国の防災基本法である夜間避難のために、照明の必要を明記しています。
  当協会は、本件に対応するため、東京都産学公連携事業の指定を受けて、「LED照明付避難誘導標識」
 を東京都と共同開発を行い、完成させました。
  当協会の避難標識は、国及び東京都の方針を踏まえたうえで、住民・外来者などが迅速・円滑・
 的確に避難が行なわれるよう「全国統一デザインの必要性」を事業活動の基本に据え、更に避難
 場所の機能や備蓄品などの情報公開も合わせて必要であるとの認識から、独自に考案したユニ
 バーサルデザインで標示した「誰にもわかりやすい絵文字情報標示型避難標識」が、減災に貢献
 できる標識であると確信しております。
 本事業を行なうにあたり、「自治体との官民協働関係を基本に、自治体防災予算に加えNPO活動(民間による協賛支援活動)により支援することと、PFI事業手法(民間資金を活用した社会資本整備事業)」を以て支援する等の方法により費用負担を軽減のうえ防災対策を実施し、地域住民などの安心・安全と諸情報に対応する標識事業を通じて、公益の増進に寄与することを目的として活動を行なってまいります。 上へ HOME
NPO法人都市環境標識協会の経緯

【1】避難誘導標識の必要性の認識

 先の阪神淡路大震災時に於いて、行政上の都合によって、大混乱と収拾に長い時間がかかり、種々の対策や対応が不充分と指摘されました。
 特に、地震発生直後の、パニック状態の住民等の避難行動は、大変問題になりました。
特に被害が大きかった長田区を例に上げると、当初、区では29ヵ所の避難場所を指定してあったという実際の、住民の避難ヵ所は79ヵ所にも及び、指定場所以外へ避難した住民が大変多く、これらの方々の人員掌握や、非常食などの支給に手間取り、この収拾に数日間が必要であったことが記録されております。
 特に、外来者(外国人を含む)や車で通りかかった人たちにも同様に、有効な標識が皆無だった為に、指定避難場所の所在は皆目知りえず、一層、混乱に陥ったとの事実が報告されています。

【2】避難誘導標識の現況
本来、生命にも直に影響する避難標識は道路上に設置されている交通標識の事例に見られるように、全国的(世界的)に統一されたデザインが必要であるが、避難標識の不足と誘導標識が皆無であったこと、また、今日迄の各地方公共団体とも、隣接同士の適切な話し合い等が行なわれなかった為、各自治体間の避難標識の表現やデザインはバラバラで全く不統一の状況にあります。
 政府は、この現況を是正しようと、平成11年2月に「災害時非難誘導標識調査会」を発足させ検討に入り、従来「安全マーク」として使用されてきた「緑十字マーク」を使用禁止とすることを決定し、新しく「広域避難場所」のデザインマークを発表しました。
 
 このマークは平成14年にJISマークとして設定し、さらに政府はISO(世界国際機関)に、世界の統一マークとして決定して頂く申請を行っています。

事業目的

当協会は、公共標識のデザイン再検証と、時代と共に必要な標識についての提案を行うことを目的とした法人です。

社会的な役割
現況の公共標識の中で特に、不統一の標識で現存している避難標識を全国的(世界的)にユニバーサルデザイン表現での統一した標識として、全国的に設置促進する活動です。当協会が提案した標識の型式やデザイン、又、地震表示やソーラー方式など、省エネルギー対策や環境に配慮した仕様で、地方公共団体への働きかけを行い、地域住民や来日中の外国人、また、外来者にも配慮した、理解しやすい標識の設置促進を展開しております。
国や都道府県庁の対応
 旧自治省防災担当者との話し合いの結果、統一を推進する防災標識に対する協会活動に理解を示されたことから、全国47都道府県庁へ協会デザインによる見解を頂いたところ、反対する意見などは皆無だった為、組織変更した総務庁消防庁や国土交通省に報告し、理解を得て、全国各地方公共団体に対し、協会デザインや設置促進手法の理解を進めてきました。 上へ HOME

(1) 全国的に大半の地方公共団体は、税収入不足の為、新規事業に着手不可能な状況が
現況であります。当協会は、NPO手法を以て、企業や各種団体に行政支援や協力の協賛金の提供を受け、避難誘導標識や地域情報板や観光施設案内標識などの公共施設整備事業の行政協力の企画や必要とする標識の設置協力を提案して来ました。

(2)都道府県庁の協力
 東京都は当初、広告条例の関係で、公道上への設置は不可能であったが、東京都広告審議会の答申を受け、平成15年6月に当条例の改正を発表、協会提案手法の活動を可能とし、更に標識全体のデザインやサイズなども、協会案を指示された形で示されました。
 三重県は、協会の提案が新規事業として適切と判断され、平成16年現行県条例の中で進行可能な「三重県避難難誘導標識等設置指針」として、整備し、同年6月1日に発表されました。
 愛知県は、東京都や三重県での推進を知り、平成18年3月に「愛知県誘導標識等設置指針の一部改正について」と各市町村に通知しました。
 他の都道府県に於いては、現行条例の範囲で実施可能と判断されている処と又、区市町村の事業なので、特別問題としていないとの意見も多数ありました。

(3)産学公連携事業としての展開
防災基本法に明記されている、夜間避難に対応する照明標識の開発を、平成18年度東京都中小企業振興公社の資金バックアップと共に、独立行政法人東京都技術開発センターとの協同開発の夜間誘導の為のソーラー標識の完成と同製品での設置推進。

 

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